痛ましい事件が起きました。

今朝のテレビで神奈川の障がい者施設での殺傷事件を報じていますね。

その番組のなかで「警備員は何人いたんですか?」と発言がありましたが、おそらく(専従の)警備員なんて人は配置されていないでしょう。

この施設、夜勤者の給与を調べたら一晩で13,470円ということでした。時々一回でその金額なら夜勤を月に20回もすればそれなりの金額になる!と勘違いする方がいますが、この一晩というのは二日間にまたいで二日分の労働をするわけなので、単純に一日あたり6735円となり、月に11回(つまり22日分)の夜勤をしたとして月収148,170円になります。

高齢者介護に比べ、知的障害の入所者は身体機能は健常者と同じです。その入所者たちが暴言や暴力をふるう可能性のある職場で、それも夜勤は入所者30人に対して1人の職員で対応している過酷な仕事です。

なんでそんなに職員が少ないのか?と考える方もいるかもしれません。

それしか国が定めた報酬では人材を配置できないのです。

その状況で更に警備員なんて置けるわけありません。

これは介護保険で賄う高齢者施設も同じです。自分も20人以上の入所者に一人で対応する施設にいましたが、一人の職員で真夜中に起きる様々な出来事に対応するには、強い精神力と強じんな肉体が必須でした。

暴力(私個人としてはそう思っていないけど)や暴言は日常茶飯事です。でもだからと言ってその方を恨むようなことはありません。

「そんな他人の下の世話なんて汚くて大変な仕事ができるね!?」こんなこともよく言われますが、そもそも汚いとかその行為自体が大変で嫌なことなんて思っていません。

なぜなら私達はプロの介護職だから

攻撃的な衝動に出るかたは、きっとその時に何か不安なことや心配なことがあって、抵抗する唯一の術として殴るなどの行動に出てしまっただけなんです。

ちゃんと対応して差し上げれば、また笑ってくれます。不安にさせてしまって申し訳ないと、次はもっと安心してもらえるようにしますねと、そう考えます。

汚いこと?トイレに行かない人はいません。その方がスッキリできたら「よかったねー」とうれしくなります。

そういう仕事です。

でも、国のやろうとしている施策は介護に人が足りないからといって、だれでもいいから介護の資格をとらせて頭数をそろえようとするのみ。

ハッキリ言うと、そんな付け焼刃な人材でまともな支援はできません。

他の仕事以上に高いモラルと精神力が必要なこの仕事ですから、資格以外にも高い職業意識をもって仕事をしたいという想いのあるかたがもっと必要です。

でも、今の介護報酬では人を余裕をもって配置なんて出来ないし、想いを持った若者を育成する時間も、能力に見合った賃金に上げていくことも難しいんです。

でも、これから私達が齢をとっていくのに、介護の手は絶対必要ですよね。

平成30年には介護も医療もまた大きく(厳しく)変わります。関心のない方が多いですが、もう国には財源がないので社会保障の支出を減らす一方です。

個人的には社会保障を抜本的に何とかしてくれるなら、増税だろうとなんだろうと歓迎なんですが・・・。

国が高齢者や障がい者に対して行ってき施策は公助ばかりでしたが、これからの未来はもっと自助・共助が必要となるでしょう。

高齢になっても自分の役割をもち、それぞれが持つ力でお互いを助ける社会。

それって大変でしょうか?

国の規制もいろいろあるし、そんな夢みたいなことをやるのは大変ですね。

でも昔の日本には地域の人々が、互いを支えあって生きてきた過去があるんですから。

そんな多世代の人々が、自分自身の生きがいや楽しみを持ちながら幸せに生活していけるコミュニティを実現できる日を私たちは夢に見ています。

 

 

2016年07月26日